日曜日

噂のLIP CREAM復活ライブに行ってきた。
         
数ヶ月前にいきなり復活の告知がされ、一日だけ(後に大阪と名古屋でもやることに)ということで合計三回のチケット発売日は各店や高円寺のローソンでは行列ができた挙句に即売り切れになってしまい、2700円のチケットがヤフオクで三万超えと局地的に凄い盛り上がりに。。。自分も一枚のみ買えたので無事このプレミアムGIGに参加できた。
当日恵比寿に着き、駅からリキッドへ歩いて近づくにつれていくと少しずつパンクスが目立ち始め、近辺から入り口にいたっては「あれ?ここって高円寺?」と勘違いしちゃうくらいピースフルかつバイオレンスな光景になっていたのが面白かった。物販でチラシと同じイラストが描かれたTシャツとポスターが今回限定で売られていたのを横目に、自分はオープンの時間にすぐ入ってだらだら観察。いろんなバンドのメンバー以外で来てるのはやっぱりリアルタイムで好きだったような世代の人達がほとんどで、二十代や女の子もちらほら。みんないろいろなバンドのTシャツを着ていたけど、あんなに多くの人が来ていたのに今回の限定Tシャツ以外はみんなバラバラで全然被ってないのが面白かった。七時になりスタート。
まずはNICE VIEW。なぜこういう対バンになったのか接点とか事情が分からなくて気になってたけど、いざ始まるとそんなことはほんとどうでもいいぐらいにかっこよかった。三人ながら音の薄さは感じさせず、三人ならではのフレキシブルさを活かして研ぎ澄まされたプログレッシブかつフリーなハードコアパンクが今日も最高だった。というかここまでくると、CorruptedやEnvyのようにもうハードコアを超えるようなデカいスケールと世界がある。最近のアルバムからBlurredの7インチの曲までぶっ続けに最後まで駆け抜けていってフィニッシュ。下手にリップに影響受けたようなジャパコアのバンドが出るよりもNICE VIEWのように全然違う方が見てて良いなと。
終わって自分がトイレの行列から戻ってくるとさっきよりもフロアの圧縮率が上がっていて、割り込み押し込みで前に行き待っているうちに音のチェックでメンバーがちょこっと出るだけで凄い歓声。そして暗転、長めのSEで待ち構えているうちに一人・二人・三人・そして四人とフルメンバーで登場するとフロアも全員が前進して、最近のハードコアのライブじゃ全然ないような凄い混み様と異常な高揚にビビリまくり。。。
期待以外なにもない中で固唾を呑んでいると聴こえてきたのはTOP FIGHT!!!!!!トップだけに!?そっからはひたすら飛ばして自分もずっとピットにいたんだけど、同年代のファンだけでなくヤングパンクスに女の子、あとクルードスとLIMP WRISTのマーチンまでいろんな人が拳を上げモッシュクラウドサーフし凄い熱さ。途中で定番のパンクス同士のケンカもあり、みんなこの日をずっと待ってたんだなあとしみじみ思った。曲は覚え出せる限りだとKILL UGLY POP・BLOODY SUMMER・危機・モルフェイス・鋭角な未来・HOPE AFTER DESPAIR・CHANGES HONEST・るなてぃっく・八岐之大蛇・NO RULES・SUICIDALなど9SHOCKSやラストアルバム以外の曲が多かったような。
確かリップを初めて聴いたのはラストアルバムから十年以上は経った高校生か大学生のときで、かっこいいなと好きにはなったけれどあくまでも日本のハードコアのクラシックな音源としてで個人的に凄い特別なバンドっていうのはあまりなくて、自分にとってハードコアは音源よりもライブでの感動や衝撃がずっと大きく、当時ライブハウスに通って見ていたASSFORTやGAUZE、その他消毒やBURNING SPIRITSや現実逃避などでリアルタイムで直接見ていたバンドの方がリップよりも断然好きで思い入れがあるので、未だに昔のバンドとしてしか思っていないし、今回はビッグネームの復活としてのお祭りという感じであまり期待もしてなかったからかライブが始まってもいきなりガツンとやられはしなかったけれど、進んでいくうちに少しずつボディブローくらわされるようにじわじわと効いてきてやっぱすげえなと唸らされた。二十年ぶりのライブとは思えないほどのバンドの一体感と抑え切れない我流な演奏と歌には血のように滲み出る唯一の味が確かにあった。確かに未だにいくつもあるジャパニーズハードコアパンクスタイルの大元だし、数多くのフォロワーも到達できないオリジンとして当時リアルタイムで見ていた世代の人達にとって伝説とされるのもようやく納得できた気がする。ずっと昔から好きで今回あの場に参加できた人達にとっては以前と比べても錆びていない音を聴いて余計にグッとくるところがあったはずだ。終わりに近づくにつれて自分が一番好きなアルバムCLOSE TO THE EDGEでも充満していたあの混沌とした濃密な加速感で覆いつくされていく様が圧巻だった。アンコールも含めて一時間半くらいでアンコール終わっても片付けないしもう一回ぐらい応えてくれるかと粘ったけど結局なしで終了、汗しぼれるほどのTシャツとボロボロの体で会場を後にした。あの場所にいれて良かった。